ナレーション

ナレーションのコツ|上手に読むためナレーターとして意識すべきこと

こんにちは!翻訳家 / 日英バイリンガルナレーターの大山もも代です。
英日⇄日英翻訳をしたり、日本語と英語でナレーションを行なっています。

世の中には様々なナレーションが溢れていますが
そもそもナレーションって何のためにあるのでしょうか?

CMやテレビ番組、館内放送や企業VPなど種類は違えどナレーションは
「誰か」が「誰か」に「何かをしてほしくて」制作するものですよね。
CMなら「企業」が「顧客」に「この商品を買ってほしい」
館内放送なら「施設」が「来館者」に「情報を伝えたい」みたいに。

ナレーションをするときに大切なことは「誰」が「誰」に「どうなってほしいか」を考えること。これを守れば、上手にナレーションを読むことができるようになります。
私も日頃から、ナレーターとして一番意識していることの一つです。

今日は、私の教えている英語ナレーションレッスンでのエピソードをまじえて上記を深掘りします。

出発点は「誰が誰にどうなってほしいかを考える」こと

先日、こんなツイートをしました。

私は英語ナレーションレッスンの講師もしています。
このツイートに出てくる生徒さんはナレーターではないのですが、声の表現に興味があるということで、レッスンを受講されました。ナレーションのレッスンを受けるのは生まれて初めてです。

ある鉄道会社の「車内英語アナウンス」の原稿を読んでもらいました。

電車アナウンス
This train is bound for Musashi Kosugi. The next station is Sugamo. Please change here for JR Yamanote Line. The doors on the right side will open. Please switch off your mobile phone when you’re near the priority seats. In other areas, please set it to silent mode and refrain from talking on the phone.

とても綺麗な声で、英語の発音も流暢。音読だったら100点!
しかし、ナレーションにするには少し別の視点が必要・・・
そこで以下のような質問をしました。

大山もも代
大山もも代
この原稿は、誰から誰に向けて書かれていますか?
生徒さん
生徒さん
鉄道会社から乗客にです
大山もも代
大山もも代
うんうん、そうですよね。じゃあ、これを聞いている人はどんな人?若い?お年寄り?
生徒さん
生徒さん
電車の中なので・・・色々ですか?
大山もも代
大山もも代
はい、そうですね!今回は、お年寄り含め色々な年代の方が対象なので、少しゆっくり丁寧に読みましょう!

視聴者の性質や年代は読むスピードに関わるので意識しましょう!
もし対象視聴者の性質(学生?ビジネスマン?など)や、年代がはっきりわからないときや、お年寄りの方も含まれる公共の場でのアナウンスなどは
通常よりも少しゆっくり丁寧なナレーションを心がけると良いと言われています。

大山もも代
大山もも代
では、流れる場所や時間帯は想像できますか?
生徒さん
生徒さん
電車の中で、時間帯は色々・・・です。
大山もも代
大山もも代
正解です!今回の原稿は電車の中という特殊な空間なので例外ですが、流れる場所や時間帯を考えてナレーションをするのは結構重要です。

ナレーションのスピード感については、テレビのナレーションを想像してもらえるとわかりやすいのですが、どの時間帯に流れる番組かによって、出演者やナレーターの話し方は微妙に違います。朝の情報番組などは出勤や通学前で急いでいる方も多いので、少しテンポも速めですが、夜に流れるドキュメンタリーなどは一日の終わりなので、ゆったりとした語り口が多いですよね。
「気にしたことなかった!」という方はぜひ今度テレビを見るときに意識して聞いてみてくださいね。

大山もも代
大山もも代
では、次です。聞く人の状態は集中していますか?それともながら聞きでしょうか?
生徒さん
生徒さん
あまり集中していないかも。本を読んだり音楽聴いたりしている人もいると思います。
大山もも代
大山もも代
そうですよね。電車に乗っているときに、集中してアナウンスを聞いてくれる人はいないですよね。ということは、注意を集める声の出し方やトーンを意識しないといけないんです。
生徒さん
生徒さん
なるほど!
大山もも代
大山もも代
では、最後の質問。このナレーションのゴールは?聞いた人にどうなってほしいでしょうか?
生徒さん
生徒さん
うーん・・・
大山もも代
大山もも代
これはちょっと難しいかも。正解はもちろん一つではないですが、「乗客にマナーを守ってほしい」「降りる駅を間違えず、スムーズに乗り換えてほしい」というところでしょうか。
生徒さん
生徒さん
わかりました!もう一度読んでみます!

すると、生徒さんのナレーションが劇的に変わったのです。
情報は優しくわかりやすく、マナーについてのお願いもスッと入ってきました。
とてもナレーションが初めてとは思えないほど上手になり、内容とともに想いが伝わってくるようになりました。

ナレーションは文字の読み上げではありません。音的に綺麗に読むだけではなく、意味を伝え、聞いた人に行動を促せるのが良いナレーションだと思います。

そのためにも、ナレーションをするときには・・・
「誰」が「誰」に「どうなってほしいか」を考えるのが出発点

ナレーターを目指していて、ナレーションが上手くなりたいという方は、ぜひ一度この質問を、お手元にある原稿に当てはめて考えてみてください。

  1. 誰から誰に向けて書かれた原稿?
  2. 視聴者の年代や生活環境は?
  3. 流れる場所や時間帯を想像しよう
  4. 聞く人の状態は集中している?ながら聞き?
  5. このナレーションのゴールは?聞いた人にどうなってほしい?

上記のことをしっかり意識して読むと、ナレーションがとても上手になります。

ちなみに、日本語のナレーションではこれらのことがしっかり意識できていても、英語ナレーションになると、発音やイントネーションが気になって、間違えずに読まなきゃという思いからおろそかになってしまいがちなので、気をつけましょう!

英語ナレーションレッスンを始める前は、英語講師を17年やっていました。
生徒さんの「わかった!」という顔が見たくて、説明を色々工夫することが大好きです。
読みが実際に変わってナレーションが上手になったときには本当に嬉しくなります。
これからも英語ナレーションを上達させたい皆さんに喜んでいただけるレッスンをしていきたいなと思っております!

大山もも代
大山もも代
もし、ナレーションでお悩みのある方は一度お話聞かせてくださいね

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