こんにちは!翻訳家 / 日英バイリンガルナレーターの大山もも代です!
英日⇄日英翻訳をしたり、日本語と英語でナレーションを行なっています。
街中、ネット、テレビなど、ナレーションを聞く機会は皆さんきっとたくさんあると思いますが、その準備についてはあまり聞いたことがないのではないでしょうか?
今日は、ナレーターがどんな準備をしてナレーションをしているのかご紹介します。
ナレーターとして私が特に気を付けているのは以下の三つです。
- ナレーションの種類をチェック
- 企業や商品を入念にリサーチ
- 原稿をパートごとに細かくチェック
ナレーターを目指している方にも参考になったら嬉しいです。
それでは早速みていきましょう!
「ナレーションの出発点」を意識
ナレーションは綺麗に読むことではなく、内容を伝え、聞いた人に行動を促すことが目的です。
そのためには、ナレーションをするとき
「誰」が「誰」に「どうなってほしいか」を考えるのが出発点だと思っています。
そこがしっかりと把握できたら次のステップに移ります。
ナレーションの種類をチェック
原稿を頂いたら、まずはナレーションの種類をチェックします。
なぜなら、種類によってナレーションの目的が違うからです。
CMなら物を売ること。簡単に言えばその商品を買いたいと思う人を増やすのが目的です。
企業VPなら、会社、商品、サービスの認知度・顧客満足度アップや売上のアップなどですね。
eラーニングなどの教材なら、受講者の理解度アップなどなど。
それぞれに合わせた声の出し方やトーン、表現を考え、組み立てていきます。
企業や商品を入念にリサーチ
さて、ここからはナレーターの私がどんな風にナレーションの準備をしているか、順を追って解説します。ご依頼いただくことの多い「企業VP」を例にとってみていきたいと思います。就職説明会や、展示会などで流れる会社紹介の映像を想像してください。
原稿をもらってすぐに声に出しては読みません。
まずはその企業のバックグラウンドやポリシーなどを調べます。ホームページを開きながら原稿をチェックしていき、もし知らない技術や業界用語などが出てきたら検索をして、クライアントのホームページだけでなく、関連するページも調べ、頭に入れます。
自分がわかっていないことをいくら綺麗な言葉で読み上げても絶対に伝わらないので、入念な準備が必要です。地名や、商品名の読み方がわからない場合もここでチェック。調べてもわからない場合は制作会社さんに質問するか、収録まであまり時間がない場合は、現場で聞けるよう質問をまとめておきます。
ホームページだけでなく、YouTubeもチェックします。動画の作りからもクライアントの好みを知ることができるので、YouTubeはありがたい存在です。企業名や商品名、サービス名などのイントネーションも、ナレーションで読み上げるときに間違えやすいポイントなので、動画でチェックしておくと安心です。また、いくつか動画を見てみて、どんなナレーターが起用されているのかも確認します。声質や雰囲気など、自分がナレーションするときにヒントになります。
ちなみに私が企業VPやCMナレーションのご依頼をいただいたときは、クライアントのホームページや動画で全体的な色味、ロゴや文章に使われている書体、社員紹介などを確認しています。フォーマルな雰囲気なのか、明るくポップな印象なのか、働いている方の雰囲気は?など。
そこから伝わってきたインスピレーションを、ナレーションでも声の出し方やトーンに取り入れていきます。この準備をするようになってから、収録現場で「雰囲気がイメージぴったり」と言っていただけることが増えました。
クライアントのHPをチェックするナレーターは多いと思いますが、こういう見方をしている方はあまりいないかもしれません。アンテナを張って見ていくのがオススメです。
原稿をパートごとに細かくチェック
一つの原稿の中にもいくつかパートがあり、それぞれに役割があります。
会社紹介の映像では、大体冒頭の部分で会社の歴史やポリシーなどが語られます。内容的にも重要な部分ですし、イントロとして映像の雰囲気が決まる意味でも、大切にしたい部分です。とくに強調したい部分はどこか、適宜メモを入れながら読み進めます。
映像中盤は、主に会社の取り組みや特徴の紹介が入ります。他の企業にはない特徴や、誇れることなどが出てきますので、そこがしっかりと伝わるように、強調するポイントをメモしていきます。上記リサーチで理解を深めた部分を原稿に追加していくイメージです。
ここは原稿の中でも一番メインのパートになるので、一文一文が長い場合があります。何度か読み上げてみて、息継ぎのポイントなども必要があればメモします。強調したい部分が伝わるよう、音の上がり下がりが不自然じゃないか、逆に平坦になっていないか、本番同様に読んでみながら考えます。
原稿の最後はまとめの部分です。ここには、視聴者に覚えて帰ってほしいことがギュッと詰まっています。「私たちはこんな会社で、こんなことを大切にしています。社会の役に立つために頑張っています」といったメッセージを嫌味なく受け取ってもらえるよう、大切に伝えたい部分です。気持ちはその会社を愛する社員代表のように。しかし、客観性も大事に。ここのバランスは難しいですが、企業VPナレーションの肝です。どんなトーンで締め括るか考えながら下読みをします。
このように、一つの原稿の中だけでもパートごとに役割があります。
それぞれの役割をいかすことができれば、内容が伝わるだけでなく、クライアントがこの映像を作る目的が達成できます。
ただ綺麗に読み上げるのではなく、「誰が誰にどうなってほしいのか」を考えて、視聴者をそのゴールまで導く役割をまっとうしたいと思っています。
おまけ:日々の基礎練習
上記のことに加え、一番大切と言っても過言ではないのが、発声、滑舌などの日々の基礎練習。
どれだけ背景を調べたり、気持ちを作って読み方を組み立てていても、滑舌が悪くて聞き取れなかったら伝わらないので、毎日の発声練習やボイトレは欠かせません。急にうまくはならないので、日々の鍛錬が重要です。
第一線で活躍されている方こそ、毎日の発声練習やボイトレ、筋トレを重視されていると聞きます。
まとめ
今日は、ナレーターが何に気をつけて、どんな準備をしてナレーションをしているのかご紹介しました。
わずか1分ほどの短い原稿でも、入念に下調べをして収録に臨んでいます。
同じナレーションでも、準備をするしないでは聞いたときに伝わり方が違うので、これからも手を抜かずにいきたい部分です。
ナレーターを目指している方にも参考になっていたら嬉しいです。
翻訳家 / 日英バイリンガルナレーターの大山もも代ホームページには実績やボイスサンプルなど多数掲載しております。ぜひご覧ください!